mundraub(ムントラウプ)、このドイツ語の意味は「盗み食い」らしいです。Chromeのgoogle自動翻訳は、「口強盗」と訳してきます(笑)。
mundraubは、公共の場所や人の家の庭などに生えている、食べられる果物やハーブなどの情報を共有するWebサービスです。
サイト創始者がキャンプに行った際、自生していた木の実がスーパーマーケットなどで買う果物より余程美味しかったことから、街なかの豊富な食料資源の情報をシェアしようと、サイトをスタートした、ということです。
サイトを開くと、マップ上に様々な植物のアイコンが表示され、アイコンを押すとその植物の写真や特徴、食べ時などが表示されます。
利用者はサイトを開いて、自分のいる場所の近くにどんな食べられる植物があるかを調べることができます。
そして、植物の写真や実のなる時期などの詳細情報をもとに、位置情報と照らし合わせながら植物を探し、時期が合えば実を採って食べることができるのです。素晴らしい!
ドイツに行くと決めた時から、このサービスがどれくらい充実しているのか、一度使ってみたいなあと考えていました。
8月30日、フランスから鉄道でドイツ入りして最初に滞在した都市は、デュッセルドルフ。
宿泊先はAirbnbで探した貸切アパートメント。
広いリビングに広いキッチンとバスがついて、恐らく内装工事してからからかなり新しく、イケアの家具なども揃っていて綺麗に掃除された、快適な部屋でした。
急ぎの予定は何もなく旅の疲れも出てきていたので、料理をしたりダラダラ調べものをしたりと、移動の疲れを癒すべくゆっくり過ごした一日。
夕方になり、日は長いものの、このままでは何もせずに一日終わってしまうと、一念発起して外出しました。
ドイツはゴミの分別で有名です。ビンの回収するのにクリア、緑、茶色と分けて集めているという話は教科書にも載っています。
そんな住宅街のゴミ箱など観察しつつ、徒歩で5分ほどの公園に向かいました。
mundraubのサイトで見ると、宿泊場所から徒歩5分ほどの公園内には、りんご、ベリー、さんざし、チェリーなど、たくさんのフルーツがある様子です!
パソコンとwifiルータも持参して、公園の中でiphone地図で位置情報を確かめつつ、mundraubサイトが見やすいパソコン画面で植物をチェック。
公園に入るとまずは、豊かで活き活きした緑に圧倒されました。
草や木の刈り込みなど、人手が入ってはいるものの、人工的な印象や違和感はほとんどなく、濃い緑の合間にところどころベンチなどが置かれ、座って読書などしたら気持ちが良さそうです。何人かの奥さんたちが犬を散歩させていたり、若そうな2-3人のグループが地面に座ってお喋りに興じたりしています。
奥には低層4-5階程度のお洒落な集合住宅が見えて、西に傾いた陽光が緑を明るく照らし、豊かな住環境を絵に描いたような公園です。
公園内のフルーツのタグを一つ一つたどって、見つけた実を、とりあえず片端から食べてみることにしました。
まずは紫色の小さい実。ブルーベリーみたいに見えたけど、食べたら渋くて不味い。吐き出して、すぐに気をとりなおし、次へ。
いろいろな実を見つけてとりあえずかじってみましたが、どれも苦かったり渋かったりしてまずい。
ムントラウプには載っていなかったけど、ホップと思われる植物を発見。かじってみるも、当たり前ながら苦い。
さらに地図を辿り、赤い実を発見。地図と現物が合っていれば、これはサンザシかも。
食べてみると、りんごっぽい甘い味で、美味!やった!美味しいのを発見しました。
続いて、さっきとは別のベリーみたいな実を発見して食べてみるも、また敗退。
ところで、この公園内には、りんごの表示があるけど、どこにあるのだろう??この情報、本当なのかな?
探偵犬のように地図と園内の植物を辿り、ようやく発見しました!
見つけてみればそれは大木の青りんごの木で、地面の辺り一帯にも落ちたりんごが散らばっています。
木は高すぎて手が届かないので、落ちているりんごの中から比較的綺麗そうなのを探し出して服の裾で拭き、食べてみると・・・
「!」
・・・こ、これは!甘くて美味しい!
実際、酸味もあってとても美味しいりんごでした。
これにて公園探索ミッション完了。食べられる植物をりんごと山査子は特にとても美味しく、mundraubの実効性を実感できたのでした。
公園内の土が覗いている場所にところどころ開いていた直径20センチほどの穴。
何かなあと思いながら公園内を歩いていましたが、帰りぎわに振り返ると、公園内の遠くの斜面に、グレー色したうさぎ達が。土に開いた穴は、うさぎ穴だったのです。
街なかの公園に、こんなに豊かな植生と、うさぎまで棲んでいるという自然の豊かさに驚きました。
デュッセルドルフは日本人駐在員が多いまちで、日本食スーパーやレストランもとても充実しているので住みやすそうです。
mundraubはドイツ全土および近隣の欧州各国にて利用できます。
ドイツに行ったらぜひ試してみてください!
http://mundraub.org/
ムントラウプ体験を無事に終えて、日も落ちてきて19:30を過ぎ、夕飯は日本食店に行ってみることにしました。
電車に7駅10分ほど乗って、アウスラーゼ駅へ。
デュッセルドルフ駅からも比較的近い、繁華街にある日本食店、比較サイトでの評価も高く、デュッセル駐在している知人もおすすめのお店、「日向」。
空はまだ少し明るいけど実は20時頃にお店に入り、卵焼きが載った特製サラダと、握り寿しを注文いただきました。
現地の日本食店の例に漏れず、日本食の外食というとやはり少し値段は高めに感じますが、とても美味しいお店でした。
店内には日本人駐在員と思しき日本語を操るスーツマンが多く飲んでいます。一見、大手町辺りの居酒屋と錯覚するような雰囲気です。
でも、日本とは違いました。
隣の席のサラリーマン二人組は、注文した唐揚げやサラダを少し食べ残しているようでした。
すると、お会計を頼むと同時に、「これ持ち帰らせて」と言って、ドギーバッグを当たり前のように頼んだのです。
上司と部下といった風情の二人組でしたが、上司は家族もちのようで、部下(?)に向かって、持ち帰るよう勧め、若年者の方が「明日の朝ごはんにします、助かります」と言って持ち帰っていました。
私たちはお料理を残さなかったのですが、会計の際に、お店の方に話を聞いてみました。
すると、
「こちら(デュッセルドルフ)では、残したものを持ち帰るのは結構普通なんです。実は、私たちも日本から来た当初は知らなかったんですけど、こちらでレストランなどに行った時に見かけてそういうものなんだなーと思い、それ以来、自分たちがどこかのお店で食べる時も、残したものは持ち帰るようになりました」
とのことでした。
駐在員などの日本人を含め、お客さんは残り物をパックに詰めて持ち帰るのが普通だそうです。
廃棄を減らすようなアプリやレストランなどのサービスも、欧州では始まっているとお伝えしたところ、「私たちも勉強しなければ」、とおっしゃっていました。
日本人が経営されているお店で、日本人のお客さんも多いのですが、所変われば文化も変わる。フードロス対策に関する意識の高さを感じたお店訪問でした。
Copyright © 2022 Setten Inc.