本日2017年3月17日は、都内某区の清掃事務所内会議室で執り行われた、ごみ減量の施策を考えるワーキンググループにオブザーバー参加させていただいてきました。
区の活動としては、別の機会に審議会が公開で定期開催されているとのこと。今回のワーキングは、大学教授が座長となり、自由な意見交換を主旨として実施されたものです。
メンバーの方々に教えていただき、とても面白いと感じた事柄を(可能な範囲で)共有します。
1. 都市鉱山について
2020年東京オリンピックのメダルを、いわゆる都市鉱山(通信機器などに使われたレアメタル等の廃品)から作ることが話題となっています。金属加工に携われる方のお話によると、実際にかなりの鉱物資源が廃品の中に眠っているそうです。
ケータイゴリラキャンペーンの話は面白かったです。タンタルというレアメタルはアフリカのコンゴ民主共和国でしか取れないのですが、ジャングルの奥地なので、タンタルを探すためにゴリラたちが森林伐採の影響を受けたり、場合によってはブッシュミートと言って食糧にされてしまうこともあるとか。そこで、都市に埋蔵している廃棄携帯電話機などをリサイクル回収し、その代金をゴリラを守るための基金に寄付する、という活動が行われたとのこと。
間接的にではありますが、弊害を受けているところにできるだけ還元しようという循環が実現されたプロジェクトではないかと思います。
2.リサイクルセンターの役割
自治体のリサイクルセンターでは、引き取った粗大ゴミをクリーニングして格安で販売しています。
しかし、今ひとつ人気がなかったり、自治体によっては積極的には機能していなかったりします。(webページがリンク切れになっていたり。)
昨今の一般消費者は、リユース家具・家電などへの抵抗感が少なくなってきているようにも感じます。昔のような、古着などユーズド品は一部の人が好むものと思われていた時代は過ぎ去り、良い物をよりお買い得に手にいれられるオークションなども今は大盛況です。大量生産・大量消費時代の夢の跡の不景気があったせいか、ビンテージやアンティークの価値も再認識されているようにも感じます。(ただし、高い価値が認められているのはブランド品中心という現状もありますが。。)
粗大ごみとして出されたものが再びその物の使命を持って活用されるのは、とてもよいことだと思います。
余談ですが、最近、池袋のヤマダ電気を通りかかり立ち寄ったら、そこはリユース館と言って、新品を買ったお客さんから1円などで下取りした家電類を安く販売する売り場になっていました。2008年以降の製品を販売しているとのことですが、一例を挙げれば、32インチの2010年製テレビが19800円、2011年製137リットル冷蔵庫が13800円など、かなり格安です。
新品の半分くらいの値段で買えて、複数の製品を購入した場合でも配送料金は全部まとめて2000円のみで届けてくれるそうです。
池袋の土地柄、安く家電を買いたいという留学生など外国籍の方も多いようですが、高級なドラム式洗濯機や多機能冷蔵庫などは、家電業界の方がこれで十分、と結構買いに来られるそうです。
こういった、リユースの市場をもっと広げて、かつ、マネーコストをコミュニケーションコストで代替することも含めて、フレキシブルな値付けをして、出しても取り手もwin-winな関係を作れたら良いなと感じました。
せっかく今地域ごとのリサイクルセンターがあるので、うまく活用して、魅力を高められたら良いのではと思います。
3.リサイクルからリユースへ
例えば、着物などをリフォーム・リメイクしてリサイクルすることは、自治体主導の活動などでもよく行われているそうですが、問題は、リサイクルしたもののその先で結局ごみになってしまう、という状況。つまり、リユースにはつながっていない、という問題定義がメンバーのお一人からなされました。
(ちなみに、ウールの着物が結構捨てられているとのこと。シルク着物は高級品なので、何となし勿体なくて保管している人が多いそうですが、ウールは捨ててしまうようです。勿体ない・・・。私なんてポリエステルの着物さえ大事にしてるというのに笑。)
まだ使えるものを、それを欲している人がそのまま使うことが、物の最も良い活用方法ではないかと思います。たとえば、お着物であれば、若い方でも茶道をしている方は着物を着る機会が多く、また、外国人観光客にも着物体験をしてみたいという方は多いと思います。
リメイクして洋服に仕立てるのも良いのですが、着物のままで着用したいという人がいるはずです。
そう考えれば、できるだけ広域で、ニーズと余剰物をマッチングすることが、打開策のひとつとなるのではと思います。
ただし、顔が見えること、コミュニケーションが取れることも重要です。
私たちも、tabeloopというプラットフォーム・システムを作りたいと構想していますが、システムだけに頼るとコミュニケーションは希薄になりがちですし、顔が見えない取引も発生します。
今回オブザーバー参加させていただいたような地域コミュニティこそ、価値交換の実験的基盤としては親和性が高いのかもしれません。
古くはmixiの地域別”売ります・あげます掲示板”やcraigslist、最近ではテレビコマーシャルを放映しているジモティやメルカリアッテなど、地域特化×広域のサービスも様々あります。
それらを利用するのも良いのですが、地域としてリユースを第一に掲げて無駄を省いた生活をするということを、アイデンティティにできたら素敵だな、と思いました。
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