一般社団法人全国食支援活動協力会様が実施されている「ミールズ・オン・ホイールズ ロジシステム」事業の説明会(講演会)にオンライン参加しました。
「ミールズ・オン・ホイールズ ロジシステム」(略称MOWLS)とは、食品企業などから食品の寄贈を受け、運送業者等により配送を行うことで、全国の子ども支援団体(子ども食堂など)へ食品を届ける仕組みです。
説明会は完全オンライン制で、30〜40名程の参加者がおり、はじめに同会の平野専務理事様から「ミールズ・オン・ホイールズ ロジシステム」のご紹介があり、次いで、システムを利用されている公益財団法人キユーピーみらいたまご財団様と、特定非営利活動法人U.grandma Japan様より、それぞれのご活動や「ミールズ・オン・ホイールズ ロジシステム」の活用の仕方、意義などのご講演がありました。
一般社団法人全国食支援活動協力会様 ホームページより引用図のように、「ミールズ・オン・ホイールズ ロジシステム」では2022年7月現在、全国37か所のロジ拠点をベースに、全国76か所のハブ拠点も活用して、1800か所の子ども支援団体へ食品を届けているとのこと。
その特徴は次の通りということでした。(ご講演で聴いた内容を意訳しています。)同団体が受け取った食品を、寄贈者の希望も踏まえて適切に全国の配布先へ配分することで、寄贈者が直接配送などを行う負荷や非効率性を削減している。
1. 冷蔵庫・冷凍庫が導入されており、冷蔵・冷凍品や期限が短いものにも対応できる。
2. 同団体がトレーサビリティを担保することで、寄贈者に対しても、食品の受け取り手に対しても、安全性を確保。
3. 多数のハブ拠点を設けることで、全国への展開を実現している。
食品を寄贈する食品企業さん、ロジスティクスを請け負う運送企業さん、そして全体を取りまとめて調整を行う同団体と、いずれもボランティアやCSRとして取り組まれており、とてもペイフォワードな取り組みだと感じました。
講演された特定非営利活動法人U.grandma Japan様が話されていましたが、子ども食堂などの活動は、実施者のボランティアの労力によって運営され、材料費などの費用も自前で賄われることも多いため、継続するのがなかなか大変だということです。
これは私自身も過去に大学で学生達と食品ロス対策の炊き出しなどの活動を行った際に感じたことでした。何をするにも原資は必要で、1回、2回の単発であればボランティアで頑張れますが、毎回労力も原材料費も持ち出しだと、継続するのはなかなか苦しいものです。
そのため、「ミールズ・オン・ホイールズ ロジシステム」によって多様な食品を届けてもらえることは、子ども食堂などの活動継続のためにとても役立っているとのお話でした。
他に、本日の講演会を聴講していて良いなと思ったお話は、ITの活用についてです。一般社団法人全国食支援活動協力会様による「ミールズ・オン・ホイールズ ロジシステム」の食品受付・管理のWEBシステムが現在開発中とのことで、画面操作をされながらのシステムのお披露目がありました。
決して難しい処理を行う複雑なシステムではなく、食品企業などが寄贈品の内容と、日付や配布先の希望内容などを入力しておくことで、同団体が内容を確認し、電話などでのやり取りを最低限に抑えて、細かい情報のやり取りができるというものです。
寄贈を受けた団体がお礼のメッセージや写真を投稿できる機能も用意されていて、必要性に即した、想像力を持って設計された良いシステムだなと感じました。
もう一つ感心したIT活用のお話は、特定非営利活動法人U.grandma Japan様のご講演内容にありました。同法人では、「LINE@」を活用されていて、1100名ほどのお友達登録があり、そのうち220名ほどがひとり親世帯だそうです。食品の配布などに際しては、「LINE@」で情報配信を行っており、必要な方へ情報を届けられるように、タグを使って絞り込み配信を活用されているとのことでした。それによって、いち早く必要な方に情報を届けられているとのこと。
弊社でもさまざまな企業さまや自治体さまなどから、IT活用やDX推進のご相談をいただきますが、本当に必要なIT活用とは、上記の2例にあるような、「業務の必要性に応じて最低限のシンプルな、でも気の利いたシステムを作って運用する」ことや、「日常に溶け込んだ便利ツールを上手く活用して、ITの利便性をステークホルダーにも広く届けること」なのかなと思います。
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