ハワイ島で何度か行ったことのあるコーヒーファームに立ち寄ったところ、たまたま日本語案内人の方が専属でガイドしてくださり、コナ・コーヒーの基礎知識や、そこのファームのこだわりについて詳しく教わることができたので、今回はその情報を紹介したいと思います。
農園の名前は、Greenwell Farms(グリーンウェルファーム)。
http://www.greenwellfarms.com/
1850年から家族経営で、現在は4代目が経営されているそうです。日本語のできるスタッフがおり、説明も日本語表記されていて、多種類のコーヒーを全て試飲した上で買えるので、日本人観光客にも人気があるようです。農園内でとれたフレッシュなフルーツも1個から買えます。
◆コナ・コーヒーと他のハワイ産コーヒーの違い
コナコーヒーは、コナコーヒーベルトでしかできない。エアポート辺りから40~50キロ内、標高が400~+200,300。
もっと南にいくと、カウコーヒーという名前に変わる。土は火山の土だが、サトウキビがあるなど土が経てきた条件が違うため、コーヒーの味も少し変わる。
北にいくと、ヒロコーヒーとか、ハマクアコーヒーなどがある。
これらは、木の種類などが違うわけではなく、地域で呼び分けられている。
オバマ大統領がホワイトハウスでのんでいたのが、カウコーヒーで、それでちょっと有名になった。カウコーヒーがアメリカのコンテストで入賞したため、日本人は受賞とかそういうのが好きなので、コーヒー好きは注目している模様。味はコナコーヒーとはちょっと違って、コナコーヒーよりまろやかな感じ、さっぱり飲める感じ。
なぜコナコーヒーがコナコーヒーの味になるかといえば、まずは熱帯、亜熱帯気候であること。これは、午前中晴れて、午後は曇って、夜には雨がふる、朝からまた日差しがくる、という気候。これによって、コナコーヒーの味が育まれる。
からっとしていると思われているハワイだが、場所によって気候は異なり、カイルアコナでは実は年間1200~1500ミリの雨がふる。これは東京と同程度の降雨量。
最近は異常気象で、ボルケーノまでの道が冠水するほどの雨が降ることも。
先日道路が冠水した際は、ボルケーノにいこうと思ったけどいけなかった人たちが大挙してやってきて、グリーンウェルファームは大混雑だった。
◆コーヒーの木育成から収穫まで
コーヒーの木は、概ね5~35年の間が味よく量も多い。35~40年になると収穫量が減っていしまい、その後植え替えをする、というサイクル。
農園内には6万5千本ものコーヒーの木があるが、毎年全部の木からとるわけではなく、3分の2の木から毎年収穫する。残りの3分の1は、木を切ったりメンテナンスをする。
1年経つと木の高さは3メートルくらいになる。3年たったらばっさり切ってしまう。だいたい3年のサイクル。
コーヒーは木でいったら若いほうが美味しいが、結局はローストで味がかわるので、豆の味を引き出す焙煎の仕方をすれば、美味しくなる。ただ、あまりにも時間が経ちすぎている古い木は、ローストしても味でわかる。100年も経っている木は、古臭いような味になる。
今年は12月の今頃がちょうど収穫シーズンなのだが、今年は天候がおかしく、収穫量が少ない。温度と、雨が多く降っている点が例年と違う。
普通日本などからハワイに来る人は乾燥を求めてくるのに、おりた途端にジメジメ。夏でもそうで、このような気候の変動が一昨年くらいからきている。
以前のハワイは、クーラーがいらない50~60パーセントくらいの湿度だったのに、10パーセントほど湿度が上がり、最近はクーラーがいるほど蒸し暑さを感じるようになった。70パーセントとか、湿度が高くなっている。
コーヒーは、1~8月が花が咲く季節で、咲いてる期間はわずか2~3日間。
クチナシ系の木なので、花はジャスミンのかおりがする。
コーヒーの木は自己受粉。
収穫は人が収穫する。下の方から順に実を採っていく。熟すまでの期間が短いので急いで行わねばならず、作業は大変。8回くらいに分けて、12~1月頃に収穫する。
収穫人はプロで、アメリカ本土とか、別のコーヒーの国からくる。家族単位で動いていて、だいたい毎年同じ家族がくる。つまり収穫専門の仕事の人がいるということ。
取り方はとくに難しくないが、重労働で簡単な作業ではない。木の上の方は、フックに紐がついたやつでひっかけて、足で踏んでとっていく。
木1本からだいたい40~60杯のコーヒーがとれる。
◆コーヒーの選別・加工とロースト
コナコーヒーは通常ウェット方式でつくられるが、ここでは乾かして作るやりかたを試験的にやっている。これをナチュラル方式という。
コーヒー豆を加工しているエリアは酸っぱいにおいがする。これはワイン醸造所などと同じ。
赤いえんとつはドライヤー。赤い皮をむいて、豆と皮にわけて、皮は別の会社に売り、ジュースとパウダーに加工される。
豆の方は発酵タンクにいれて、水に12~14時間つけて、良い豆は沈むので、それだけ残して天日干しする。
浮いた悪い豆は、熟してないから浮くのであって、それらはコンポストへ行く。最近5~6年は、コーヒー豆の中身を虫が食べる害も出ており、そうした豆も浮くので、コンポスト行きとなる。
沈んだ良い豆は、6~7日間干したあと、皮をむいて、グリーン豆という生豆ができる。それを等級分けして、焙煎する。
等級分けをする理由は、高く売るためとかではなく、豆の大きさにばらつきがあると焙煎の時間が変わってくるから。
丸い豆はピーベリーだけ。
平豆は、大きい順に、
エクストラファンシー
ファンシー
ナンバーワン
プライム
となっている。
ピーベリーは日本では希少で手に入りにくく、たとえ売っていても100gで5000円くらいはするので、グリーンウェルでも日本人にはピーベリーが人気とか。
ミディアムローストの場合は短めに焼く。だいたい18分くらい。エスプレッソは24~25分ほど焼く。ローストの時間が長くなると、豆は焦げていく。
ローストはとても難しい。何分焼けばよいといった単純なものではなく、焼き具合は豆の水分量や湿度などによって変わってくる。どんな状態の豆を、どんな外部環境の中で、どのくらい焼けばどうなる、といったことを何度も繰り返し、見極め方の勘を養っていかないと、一人前のロースターにはなれない。
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コーヒーづくりについては色々な情報がネットにでていますが、農園ごとにやり方はちがうそうです。こちらでは木を植え、育てて、収穫し、加工するところまで、一連のコーヒー作りを全て自家でやっていることもあり、一連の流れを見学できるので、コーヒーに特に詳しくない私にとっても、勉強になりました。
ハワイ島にお越しの際は、ぜひ立ち寄ってみてください。
見学は予約なしで可能です。
農園入口にある売店では、10種類を軽く超えるコーヒーの豆や、ナッツやジャム、チョコレートなど、ここでしか買えないお土産品も豊富に揃っています。
その上、現在のオーナーが描いた絵本のモデルになったカメレオンが、今も木の上に住んでいるんです!これは必見です。
(オーナーが描いた絵本)
(これは人形)
(中央の影が、本物のカール君!)
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